そもそも、この仮想通貨が「イカゲーム」公式でないことは最初から分かっていました。すぐに売却できないこともホワイトペーパーには記載されていました。警告の記事も出ていたのですが、多数の人が買ってしまい、お金を失ったのです。

 昔から、怪しい株を「絶対に値上がりするから、上場前に買っておけ」とそそのかす投資詐欺はたくさん起きています。株では古典的な手口でも、仮想通貨だと目新しく感じてしまうのかもしれません。しかしこれは、仮想通貨では特に多い手口なので、だまされないようにしてください。

手口その3:
被害額が大きい「国際ロマンス詐欺」

 現在、我々NPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)事務局に寄せられている相談でもっとも多いのが、国際ロマンス詐欺です。現在はマッチングアプリで出会い、LINEなどのチャットアプリでコミュニケーションして口説き、投資に誘う、という手口が多くなってきています。

 以前は、戦争で負傷したとか海外で不当勾留されたとか宝石を換金したいといった理由でお金を振り込ませる手口が主流でした。しかし、海外に送金するのは簡単ではありません。そこで、最近は仮想通貨を利用するようになったのです。

 さらには「お金をくれ」というのではなく、「一緒に投資して増やそう」と持ちかけます。丁寧に国内の仮想通貨取引所で口座を作るアドバイスをして入金させ、仮想通貨を指定の口座に送らせるのです。

「返してくれ」と言うと、送金手数料や関税がかかるなどと言って、さらにお金をむしろうとしてきます。もちろん、詐欺なのでいくら送っても、1円も返ってくることはありません。

 相談者は女性が多いのですが、一部男性も被害に遭っています。1000万円を超える被害もざらで、他のネット詐欺よりも被害金額が大きいのが特徴です。

 恋愛詐欺や結婚詐欺なども昔からありますが、膨大な手間がかかりました。しかし、今ではSNSやチャットアプリで事足りるので、費用対効果の大きい犯罪になっています。国際ロマンス詐欺に関しては「『国際ロマンス詐欺』の悲劇的結末、全財産をむしり取られる手口とは」で詳しく紹介しています。