30代と60代に多い
ブレークスルー感染

 文大統領は「ワクチン接種を始めたのは遅かったが、(接種率は)今では世界的に最も高い水準だ。我々よりも接種率が高い国は3カ国ほどしかない。全国民の接種率は79%に上る。接種対象者に限れば90%を超える。課題は接種対象を広げて青少年・年少者にまで拡大することだ」とワクチンの成果を誇った。

 しかし、直近の新規感染者の年齢帯を見ると60代、30代、10代の発生率が高い。60代、30代はブレークスルー感染、10代は未接種が原因と推定される。

 韓国人が接種したワクチンの多くはアストラゼネカ製である。英国公衆衛生当局が実施した研究では、同社製のワクチンの防御効果はファイザーよりも早く落ちることが示されている。さらに30代はブレークスルーに脆弱(ぜいじゃく)なヤンセン製ワクチンを接種した人が他の年齢に比べて相対的に多い。文政権のワクチン調達の遅れが招いた事態だろう。

 金首相は、最近2週間の60代以上の感染者は約8割がワクチン接種完了者だったと指摘。60代は優先接種対象者であったため、接種の効果が急激に落ちているとして追加接種の実施を急ぐ姿勢を示した。

感染症対策と経済安定の
両立に失敗した文政権

 野党「国民の力」のイム・スンホ報道官は論評で、「新型コロナのために(自殺などの)極端な選択をした自営業者が多いことにさえ言及しなかった文大統領の態度に驚く」「ワクチン需給の支障と統制式の防疫で生じた苦痛に対し、大統領の誠意ある謝罪は見られなかった」と批判した。

 コロナ禍において、飲食店は営業時間の短縮、入店人数の制限、など多くの規制を受けざるを得なかった。もともと最低賃金の急激な引き上げで苦しかったところに、こうした規制を求められ、人件費はおろか家賃さえ払えない事業者が続出した。