円高で日本は低迷、韓国は成長

 図1は、円レートと日本の生産の関係を示したものである。2008年の鉱工業生産指数の激減はリーマンショック、2011年の低下は東日本大震災によるものである。リーマンショック後も、東日本大震災後も円高になっている。リーマンショックで日本の輸出への需要が激減した時点で、日本企業は円高による円建て価格の上昇という競争力の低下ショックも受けた。

 リーマンショック以前に1ドル120円程度で推移してきた円レートがショック後80円を下回る円高となった。日本企業はドル建ての製品価格を1.5倍(120÷80)に引き上げないと利潤が激減する状況に追い込まれたことになる。しかし、世界不況の中で、製品価格を50%も引き上げるなど不可能である。需要ショックと価格ショックの両方で、日本の生産は低下し、元のレベルに回復することができなくなった。

 もちろん、前述のように2013年のQQEによって生産は増加したが、消費税増税の負のショックもあり、元に戻らないままコロナショックを迎えた。