満腹感を得るメカニズムにはほかにもう一つ、血糖値の上昇を脳が感知するという機序もありますが、それよりもこの咀嚼による神経ヒスタミン分泌を介した信号のほうが速く伝達されることがわかっており、より食べすぎの防止に貢献していると考えられます。
このように医学的な観点でも、最初の二口でも三口でも、ていねいに食べることの効果は大きいといえるのです。
気がついたら、
食べるスピードが半分に
わずか三口ですから、おそらく時間にしてほんの1、2分くらいのものでしょう。四口目からはふだんどおりでかまわないのですから、簡単に実践できると思います。
実際にやっていただくとすぐわかるのですが、このように、料理に意識を集中させて、ていねいに味わうと、満腹感を得やすいことよりももっと大きな発見があるはずです。
そう、「いつも以上に食事がおいしく感じられる」ということです。
その味わい深さに喜びがあふれてきて、最初は三口のつもりだったていねいな食べ方が、四口になり、五口になって、気がついたら食べるスピード全体が以前の半分くらいになっていた、ということも少なくありません。
と同時に、食事をはじめてほどほどの頃合いで、脳の満腹中枢からのメッセージをしっかり受け止めることができます。
「このあたりで、ちょうどお腹がいっぱいだな。とってもおいしかった。ごちそうさま」と箸を置いたとき、食べるスピードだけでなく、食べた量も以前の半分くらいになっていることに気づくかもしれません。