これは、たぶん金融庁も答えを持っていない難問だが、指名委員会は本来、みずほFGにとって最適な人事案を独自に持っているのでなければ機能しているとはいえない。上場企業各社の多くの社外取締役に対しては、「本来必要な仕事は、あなたなどに務まるような簡単なものではない」と言いたくなる。

 これはみずほFGに限らない。なり手の人材が乏しいことにも問題があるのだが、社外取締役の人選方法や処遇については、構造的な問題の解決が必要だろう。

 なお、この「みずほの難問」の解決に当たっては、指名委員会の際に金融庁と、他の2メガバンクの経営トップ層OBで出身行との利害関係のない人物にオブザーバーとして入ってもらって、アドバイスを受けるといいだろう。

内部昇格の場合
「次の世代」の順送りはNG

 さて、みずほの次のトップの陣容をどうしたらいいか。

 まず、もっともありそうな、みずほFG内部からの「次の世代」の順送り的昇格・抜擢はだめだろう。上を少しだけ変えても、人間で言うと髪の毛を切ったくらいの効果しかない。一見サッパリした風貌になっても、組織の体質は変わらない。髪の毛が伸びるくらいの時間が経つと、見かけも含めて元通りになっているだろう。

 今の金融庁は、OBの天下りポストを要求するような下品な官庁ではないと筆者は思っているが、官庁や日本銀行のOBが銀行のトップに就任するのもよくない。監督・検査する側とされる側の癒着を生むし、銀行のビジネスやシステムについて組織を指導するに足る知識があるわけではないから不適切だ。念のために言っておく。

 みずほFGに「素材として」の人材がいないわけではあるまい。日本の大手銀行は、優秀な人材を無駄に集めて浪費してきた(行員の多くが50歳くらいで第一線の仕事を外れる)。最も現実的なのは内部からの抜擢だろう。