勝利の女神は
再び原告にほほ笑むか

 既に第2次代表訴訟(=本件訴訟)は始まっていた。

 事件の主な概要は、岡田元会長がユニバーサル社の100%子会社から、ヴァージン諸島に設立した法人に対し無担保・無利子で巨額の貸し付けを行い、岡田氏が大株主でユニバーサル社の約7割の株を保有する「Okada HD」の第三者への貸し付けと、岡田氏個人の個人的用途に独断で充てたというものである。

 これ以外にも複雑な取引を多数行っており、岡田元会長が会社を私物化して個人の利益を追求し、会社に多額の損害を与えた事実が認定されている。

 第2次訴訟では、途中で会社側が第三者委員会を立ち上げて、調査報告書をまとめている。その過程で岡田元会長の責任が追及され、ユニバーサル社の経営から事実上追放されるなど、細羽氏サイドに有利に運び、今回の完勝に至った。

 だが、実は、細羽氏と勝部代理人弁護士は、ユニバーサル社の富士本社長らに対して、第3次株主代表訴訟を提起しており、その訴訟も佳境を迎えている。

「代表訴訟だけで足かけ6年。心が折れることはなかったのですか」

 そう私が問うと、両名とも、「彼が頑張ってくれたから」と相手をたたえた上で、自信に満ちた声でこう答えた。

「自分たちの行為は正しいことだと信じていたから、やり抜けましたし、第3次もやり抜きます」

 第3次訴訟は、早ければ来年3月に決着がつくとみられている。ユニバーサル社は、第2次訴訟の結果について、メディアに「妥当な判決」というコメント以外は出していない。

 果たして勝利の女神は、再び彼らにほほ笑むのだろうか。