お寺の掲示板大賞「中外日報賞」を受賞した大秀寺の作品「私の中には仏がいる」大秀寺(東京) 投稿者:@219karate [2021年5月17日] 

山川草木すべてが仏性を有している

 ここからは、仏教系新聞3紙による賞を続けてご紹介します。

 中外日報社による「中外日報賞」には、東京都葛飾区にある浄土宗の大秀寺の作品「私の中には仏がいる」が選ばれました。これは、みなそれぞれが仏性(仏さまになる性質)を備えているということを表した作品です。

『大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)』の中に「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」という言葉が出てきます。これは「すべての生きとし生くるものは仏になる可能性を有している」という教えであり、大乗仏教に非常に大きな影響を与えた思想でもあります。中外日報社による講評は以下の通りです。

  私の中には仏がいる。あなたの中にも仏がいる。みんなの中に仏がいる――仏教の要諦はここに尽きます。

 仏性を持っているのは人間だけではありません。山川草木すべてが仏性を有しています。地球上に生きる限り、同じく仏性を持ったそれらを常に慈しみ、尊ぶ心を持ちたいものです。

お寺の掲示板大賞「中外日報賞」を受賞した日蓮宗の妙円寺の作品「損得ばかりじゃ疲れちゃう。たまには損でもいいじゃない。」妙円寺(東京) 投稿者:@renkouzan [2021年5月3日] 

 続いて、仏教タイムス社による「仏教タイムス賞」です。こちらでは東京都渋谷区にある日蓮宗の妙円寺の作品「損得ばかりじゃ疲れちゃう。たまには損でもいいじゃない。」が選ばれました。

 私たちは自分の価値観を基にして損や得を判断しますが、それは決して当てになるものではありません。一時的に損をしたとしても、それが後の人生の中で大きな得につながることもあります。目先の個人的な損得に執着していると大変生きづらくなるため、損得という自分の価値観(ものさし)からたまには離れることを促した作品です。仏教タイムス社による講評は以下の通りです。

 分断や格差が広がる現代社会の一因を見事に表現した言葉で、その対応策も提示。損得は人間の欲望を示すもの。そうした見方から少しでも離れることを教えてくれるのが仏教。これからは尊と徳から考えたい。

 講評の言葉にもあるように、「損と得」ばかりでなく、「尊と徳」についても考えてみましょう。