これについては絶対正しいという答えは存在しない。同じ原因で下落してもその後の回復パターンが異なることはおおいにあり得るし、そこからさらに変化が起きることもあるため、市場の動きを読むことは不可能だからだ。ただ、いくつか知っておくべき原理原則はある。
短期投資か、長期投資かで
投資行動の「正解」が変わる
短期投資というのはその日のうちに決済してしまうデイトレードをはじめ、数日~数週間で決済するスイングトレード、さらにせいぜい長くても数カ月単位での売買のことを指す。
筆者が考えるに、もし短期投資で考えているのであれば、上記の一つ目から三つ目までのいずれの理由であってもいったん売った方が良いだろうと思う。最も短期的な下落が予測される三つめの場合でも、ケースによっては数日で戻ることもあれば数カ月かかることもある。短期投資で重要なのは資金効率とリスク管理であるから、できる限り機敏に動いた方がいいからだ。
したがって、自分の投資スタンスが短期ならば、どのような内容にせよ、悪材料が出たときにはいったん見切って早く損切りした方が被害は少なくて済むことが多い。多くの人が心の中に持っている「現状維持バイアス」(変えるのが良いと客観的にはわかっていてもなかなか変えることができない心理のこと)によって、ここで損切りできないと、そのままずるずると引きずった結果、いわゆる塩漬けになってしまうからだ。
これは短期投資を指向する個人投資家だけではなく、機関投資家でも同じことがいえる。公的年金のような超長期資金を運用するGPIFのような存在であればいざ知らず、通常の企業年金であれば1年ごとの決算があり、期間収益が求められるし、投資信託であれば、日々の基準価額が下落することで投資家が離れていくことも起こり得るからだ。
ところが同じ株式投資でも長期投資のスタンスで臨むと、行動は全く変わってくる。これはどちらが良いとか悪いとかではなく、その人の投資に対するスタンスの問題だ。一般的に普通の個人投資家は仕事を持ちながら投資をするわけだから、ずっとマーケットを見ているわけにはいかない。それに機関投資家と違って期間収益を出さなければならないという必要もないので、必然的には短期投資ではなく長期投資のスタンスとなるのが一般的だろう。