夜営業の回復に不可欠なのは
「高付加価値メニュー」の開発

 夜営業での変革の一つとして、高付加価値メニューの開発がある。「限定5食」など、「希少性の原理」を活用したメニューを新たに出すのである。手に入りづらく希少性の高いものに価値を感じる人間の心理を利用する作戦だ。

 お取り寄せに見られる手の込んだ高付加価値メニューや、「宅飲みセット」のお総菜メニューでは、予約販売を可能にするという手もある。12月であれば忘年会やクリスマス、1月であればお正月や新年会といった言葉を入れてアピールしておくのだ。冬であれば、鍋料理やおでんといったメニューを入れるのもよい。

 大切なのは、こういった新メニューについて、SNSで絶えず情報発信をして高付加価値メニューを紹介することだ。DMを活用して受け付けを行ってもよい。昼の営業であれば、今日のランチやお弁当メニューを事前に紹介しておくのも有効だ。

多様化する働き方に合わせて
飲食店も進化すべし

 1990年代後半の「IT革命」以降、この20年間で私たちの生活様式は大きく変化し、IT産業の雇用も増加した。それに伴い、日本人の働き方も多様となっていった。

 2022年を迎えるにあたり、さらなる「コロナ改革」が動き出すことになろう。「IT革命」で進展した世の中から、よくも悪くも、非常事態におけるコロナ禍の影響により、テレワーク化やコミュニケーションの取り方の変容、業務の見直しがいや応なく求められるようになった。これに対応することで、新たなビジネスが創出されてきた。

 残念なことであるが、もうコロナ前には戻れない。今後、私たちの身近な存在であるべき飲食店はどうなるのだろうか。

 混沌(こんとん)とした暗闇のなか、トライアンドエラーで模索していくことでしか、イノベーションは生まれない。コロナ禍という未曽有の事態のなか、飲食店のビジネスを取り巻く環境は、もう少し過渡期が続くであろう。しかし、この時代の変化のなか、進化する者だけが生き残ることだけは確かである。