やがてパーティーが終わり、引き上げようとするB子にC部長は

「まだ離してあーげない!」

 と言いながら無理やり手を引っ張り、レストランの玄関に止めてあったタクシーに二人で乗りこむと、「今から僕の行きつけの小料理屋で一緒に飲もう」と誘った。

 B子は慌てて車から降りようとしたが、「だーめっ!断ったら甲社からもう資材を買わないよ。それでもいいの?」と畳みかけた。ついに我慢の限界を超えたB子は、C部長を突き飛ばし車から降りると、一目散に駅に向かって走り、逃げ出した。

「取引をやめる」と取引先の部長から連絡が……

 翌週の月曜日、出社したB子はA課長に「C部長から電話があり、ウチとの取引をやめたいと言ってきた。パーティーで何があったんだ?」と聞かれたので、パーティー中にC部長から受けた行為のすべてを説明した。しかしA課長は、

「乙社との取引がなくなったらウチの会社はおしまいだ。そうなったら君はクビだ、クビ!」

 と叫び、B子を責めた。

 A課長はその後、D社長に乙社の件を報告した。D社長はさすがにびっくりしたが、

「今すぐB子を連れてC部長に謝罪をし、機嫌を直してもらいましょう」

 というA課長の提案をひとまず保留にした。

 A課長がいなくなった後、D社長はすぐにB子を呼び、改めてパーティーの席上でのことを尋ねた。B子は、パーティーの最中だけではなく会社訪問のたびにC部長から不快な行為を受けていたこと、そのことをA課長に再三相談したが相手にされず、それどころか「C部長を怒らせたことでクビ宣言された」と話し終えると泣き崩れた。B子の話を信じたD社長は、乙社を訪問する前に対策を講じるため、E社労士に相談することにした。