少なくともオミクロン株に関する状況を確認する必要があるため、外国人の入国が制限されるに至った。フィギュアスケートのグランプリファイナルやボクシングの村田諒太選手のタイトルマッチが中止や延期になるなど、イベントにも影響が出始めている。

 海外では日本よりも早くオミクロン株の感染が拡がりつつあり、今後、物流や生産の停滞に至った場合、日本経済もマイナスの影響を受けざるを得ない。

 今年の数字で米国の国内総生産(GDP)成長率が5%台、物価上昇率が4%台と予想される一方、わが国はGDP成長率が2%台、消費者物価の上昇はほぼゼロと予想され、すっかり出遅れている。やっと回復し、多少は追いつくかと思われた矢先にオミクロン株の問題が起こるのだから、何とも「巡り合わせが悪い」。

今後を考える上での基本的情報が
オミクロン株にはまだ不足している

 現時点では、オミクロン株は「強毒性なのか、弱毒性なのか」「既存のワクチンの効果は十分あるのか、不十分なのか」など、今後を考える上で必要な基本的情報がまだ不足している。

 当面、政府にできることは、いわゆる水際対策で時間を稼ぎつつ、有効だと分かった時に対処できるようワクチンの確保を急ぐこと、および病床の確保だろう。

 ワクチンの普及や新しい治療薬の登場などもある。オミクロン株は、「普通の風邪やインフルエンザ並みに気をつけたらよいので、経済活動には大きな影響がない」という最も好ましいシナリオにも期待が掛かる。

 他方、「重篤化が十分懸念される変異株であって、感染力が強いので、世界および日本の経済を数カ月単位で停滞させる」という悪いシナリオの可能性もある。

 投資家としても生活者としても、両様の可能性を頭に入れて推移を見極めなければならない。

 ただ投資家としては、やるべきことは比較的シンプルだ。自分にとって適切な大きさのリスクに相当するリスク資産を持って、じっとしていたらいい。