つまり、株式投資(インデックスファンドなど投資信託による投資も含む)にとって、オミクロン株自体はそれほど怖くないと考えることができる。

 株価が短期的に意外なほど大きく上下するのはよくあることだが、率直に言って、オミクロン株の登場による株価の急落具合は筆者にとって少々意外だった。

オミクロン株よりも
パウエルFRB議長が怖い

 さて、株式投資家にとって、オミクロン株は大いに恐れる対象ではないのだとしても、恐れるべき対象が全くないわけではない。

 率直に言って、先般再任が決まった米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が金融緩和政策の回収を図り、その後インフレに対処するために金融引き締め政策へ転じることが、オミクロン株などよりもはるかに怖い。

 元々共和党のドナルド・トランプ米大統領(当時)に任命されたパウエル議長だが、この度、現在の米大統領であるジョー・バイデン氏の信任を受けて新たな任期を得た。来年は新しい任期の初期であり、また当面は米国内で関心の高い問題がインフレだ。

 これの沈静化に成功すると議長としての声望が高まることが期待できる。金融資産買い入れのテーパーリングを急いで、政策金利の利上げに早めに向かう可能性は大いにあるのではないか。

 先般、パウエル議長は米国のインフレについて、一過性の短期的なものではなく、ある程度継続する可能性があるとの認識を示した。上記のような推移になる可能性は大いにあり得る。

現在の米国株の株価が
金融引き締めに耐えられるとは思えない

 元をたどると、コロナの前から社債で資金調達してまで自社株買いを行って株価を上げていた米国企業の株価は、バブルに向かいつつあった。その後にコロナの経済対策の追い風を受けて上昇した株価が、金融引き締めに耐えられるとは思えない。