ビットコインの持つ二面性

 11月30日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が上院の公聴会で、インフレについて「一過性(Transitory)」としていた従来の表現を取り下げ、テーパリング(国債などの資産を買い入れる量的緩和の縮小)の加速を検討すべきだと述べました。想定よりも早く金融引き締めのペースを速めるというタカ派的な発言です。

 ただ一方で、オミクロンを新たなリスクとして認識する趣旨の発言もしています。場合によっては、追加的な経済対策が必要になるかもしれない中で、金融引き締めを速めるという難しい選択を迫られていることが浮き彫りとなりました。

 こうした状況下で、ビットコインはどのように動くと考えられるでしょうか? それは、ビットコインが「リスク資産」なのか「安全資産」なのか、どちらと解釈するかにより異なります。

 インフレ下で輝く資産として知られているのは、金(ゴールド)です。その理由は、金は希少性が高く、供給量を意図的に増やすことが不可能であることに起因します。円や米ドルの購買力低下により生活費の上昇を招くインフレ環境において、大量供給による価値の希薄化を心配しないでよい、という点で金は安全資産と言えます。

 ビットコインも、上記に挙げた金の特徴を全て持っています。このため、デジタル版の金という意味で、「デジタルゴールド」と呼ばれています。

 理論上、米国でインフレ懸念が高まるという点に注目すれば、ビットコインは上昇すると考えるのが自然です。しかし、話はそう単純ではありません。ビットコインは、株などリスクの高い資産と連動する局面もあり、「リスク資産」という側面もあるのです。

 ビットコインはボラティリティー(価格の変動幅)が大きい資産です。また、紆余(うよ)曲折はありましたが、年初来で100%プラスと高い成長率を誇っています。このため、リスクを取って高いリターンを狙う投資家や短期売買で利ざやを狙う投資家なども多く参入しています。