複雑なビットコインの「今の顔」

 では現在、ビットコインは「安全資産」と「リスク資産」、どちらの顔を見せているのでしょうか? 結論から言うと、現時点では「どちらとも言えない」というのが私の考えです。

 まずは安全資産との相関関係からみてみましょう。相関係数が1に近い時に「正の相関」となり、二つの値が同じ方向に動くことを意味します。逆に相関係数が-1に近いときは「負の相関」となり、二つの値が逆方向に動くことを意味します。

どうなるビットコイン?オミクロンとインフレのダブルパンチ出典:Kraken Intelligence「ビットコインと安全資産の相関関係。米国債(赤)、ドルインデックス(青)、金(紫)

 ビットコインと米国債の相関係数は先月からほぼ変わらずマイナス0.68。ドル・インデックスとの関係も同様に前月比でほぼ横ばいで、プラス0.47で推移しています。一方、金との相関係数は11月にプラス0.47まで上昇しました。11月中旬に金が1900ドル突破に失敗して下落した時に、相関係数が高まりを見せたのです。

 次に、リスク資産との相関係数を見てみましょう。

どうなるビットコイン?オミクロンとインフレのダブルパンチ出典:Kraken Intelligence「ビットコインとリスク資産の相関関係。ナスダック(緑)、ストックス欧州600指数(青)、S&P500(赤)

 11月初めの頃は、ビットコインとリスク資産の相関関係が高まる傾向にあったのですが、その後、低下しました。とりわけ、11月最終週、オミクロン株のニュースが飛び込んできて、世界経済の行く末への懸念が高まり出した頃、ビットコインが株よりも下げ幅を拡大する傾向がみられました。ただ、11月最後の日、オミクロンの恐怖により株価が一段と下げましたが、ビットコインは上昇しました。

 ビットコインは安全資産、リスク資産ともに相関関係が安定しておらず、直近で見ると金とS&P500双方と正の相関関係であるという「矛盾」を見せているのです。