取引先とのコミュニケーションに
なぜ「仮説」が重要か?

『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版)
著者:安宅和人

 本書には、生産性の高い仕事をするにはまず、良いイシューを見極めるところからはじめよと書かれています。「イシュー」とは、今本当に解くべき重要な課題。そしてそこには深い仮説があります。仮説があるからこそ、ネクストアクションが明確になり、検証を通して素早く成果を得ることができます。

 この考え方は、ソフトウエアやデジタルプロダクトのUIを考える時も同じです。どのような仮説があってその課題を解決すべきだと思ったのか。その課題を解決するためのデザインはどのようなものか。こうして仮説を持つと、クライアントと接する中でも、なぜこのデザインにしたのか、根拠を持って説明することができます。

 日頃の業務でもこうした思考を用いることで、仕事がやりやすくなりました。何から手をつけたらいいかわからないことに挑戦する時は、ぜひイシューから考えてみることを始めてみましょう。(UIデザイナー 矢吹ナスカ)

『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則 『ジャイアントキリング』の流儀』(講談社)
著者:仲山進也

 本書は人気サッカー漫画「ジャイアントキリング」を題材に、いいチームを作るためのコツを解説した本になっています。

 チームビルディングの考え方として有名な「タックマンモデル」の四段階(フォーミング・ストーミング・ノーミング・トランスフォーミング)にどのような力が必要になるのかを、「ジャイアントキリング」の主人公、達海猛の行動を具体例として紹介しています。

 新卒1年目の研修時にも、自分たちのチームがタックマンモデルにおいて今どの段階にいるのかを振り返るのは非常に有効でした。そうした理論を深く学べるというのはもちろんのこと、漫画「ジャイアントキリング」をより楽しく読めるというメリットもあります。

 チームで成果をあげるというテーマは、働くすべての人に役立つ上、漫画で2度楽しめる手軽さもあり、日本の漫画文化があるからこその本だと思います。ぜひ、漫画と併せて読んでみてください。(iOSエンジニア 藤井陽介)

『融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論』(ビー・エヌ・エヌ新社)
著者:渡邊恵太

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論『融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論』
著者:渡邊恵太
出版社:ビー・エヌ・エヌ新社

 昨今、モノをつくれば売れる時代は終わり、コト(体験)を売る時代になってきていることは、皆さんご存じのことと思います。

 普段何げなく使っているiPhoneの体験がなぜ良いのか、再現するためにはどのような考え方をし、どのようにUI/UXを設計すればよいのか。その手法や今後のモノづくりの幹となってくれるような考え方を、鉛筆やハンマー、iPhoneといった身近な具体例を交えつつ、まとめられています。

 現代における人間の振る舞いや習性を中心として、本書の最重要キーワードである「自己帰属感」のある使い心地の良いモノづくりができるのか? 本書はこれらのヒントが詰め込まれており、この1年、私が実際にUIデザインを行う際に立ち戻る場所となってくれました。今後も何度も読み返すことでしょう。デザイナーだけでなく、これからのモノづくりに関わる方は読んでおいて損のない一冊だと思います。(UIデザイナー 平尾帆野佳)