しかし、今や社会は専門領域に細かく分かれ、観察のフレームワークも領域ごとに無数にあります。例えばマーケティングだったらPEST分析やSWOT分析、技術だったらBOM(部品表)やリバースエンジニアリングなど、分析手法だけでも無数にあり、どれを使えば全体をつかめるのかも曖昧です。

 ここでよく考えてみてほしいのですが、実はバラバラで違うはずの分析方法たちは、奇妙なほどよく似ていると思いませんか? マーケティングと新型コロナウイルスの分析は、同じようにネットワークの構造を扱います。また物体の構造や通信の最適化などでは、内部に流れる力を液体のように捉えて計算します。このように、ほとんど同じ手法で分析される対象が社会には無数にあります。それは、なぜなのでしょうか。

 この疑問について延々とぼくも考えてきたのですが、現在たどり着いた結論から申し上げます。実はあらゆる分析の方法は、4種類しか存在しないと私は考えています。つまり未知を理解するための方法は、たった四つしかない。世の中にあまたある解析手法は、同じ手法をさまざまな形で呼び変えているだけ。少し乱暴な仮定ですが、進化思考ではこうした考えを時空観学習、あるいは時空観分析と呼んでいます。

時間と空間の四つの観点

理解力を飛躍的に上げる「たった四つの分析」の威力NOSIGNER作成

 ここにその四つの観点を書き出してみました。

 なぜ、学問や事業の領域を問わず、分析にはこの四つしかないと考えたのか。それはこの世の事象がすべて、空間と時間の上に置かれているからです。

 つまり空間を観察するなら、内部は解剖的観点になってしまうし、外部は生態系的な観点になってしまう。時間を観察すれば、過去から現在までの系統的観点と、未来を扱いやすくするための予測的観点になってしまう、というわけです。