今年急増、巧妙になってきたフィッシング詐欺メール

 相談件数1位は前述の国際ロマンス詐欺、2位はZOZO創業者・前澤友作氏をかたる「お金配り」詐欺。そして3位がフィッシング詐欺メールでした。

 フィッシング詐欺メールは、今年急増した詐欺です。8月に爆発的に広まり、現在はそこから微減しています。フィッシング対策協議会の報告によると、2021年8月のフィッシング報告件数は5万3177件、フィッシングサイトのURL数は9024件、悪用されたブランド件数は89件でした。1年前の2020年8月はそれぞれ、2万814件、4953件、55件なので、大幅に増加していることが分かります。

 Amazonや楽天といったショッピングサイト、JCBや三井住友カードなどのクレジットカード、NTTドコモなどの通信系、アップルなどのアプリストア、ヤマト運輸などの配送業者などをかたり、偽のウェブサイトに誘導。アカウント情報やクレジットカード番号などの個人情報を入力させるのです。

 2021年夏には、オリンピックをテーマにしたフィッシング詐欺サイトも横行しました。最近は、QRコード決済のPayPayやフリマアプリのメルカリをかたるメールも増えています。

 昔はネットの翻訳サービスを使った適当な文面が多く、一目見て詐欺メールだと判断できました。しかし、現在出回っているフィッシング詐欺メールの文面は巧妙で、ウェブサイトも本物と見分けが付かないこともあります。URLの偽装技術も上がっており、だまされてしまう可能性は高まっています。

 2021年1月には女優の生駒里奈さんが、普段使いしているショッピングサイトをかたったSMSに書いてあるURLを開き、クレジットカード情報を入力してしまいました。被害額は10万~15万円とのことです。3月には人気YouTubeチャンネル「きまぐれクック」のかねこさんが、フィッシング詐欺に遭った動画を投稿しました。Amazonを騙るサイトに入力してしまったというもので、被害金額は26万円でした。

 フィッシング対策は、「メールやSMSに書いてあるURLをクリックしないこと」。これに尽きます。フィッシングメールの文面を信じたとしても、アクセスする際はブラウザを開いて自分で検索し、自分でログインしてください。これだけで、フィッシング詐欺サイトに誘導されずに済みます。

8月をピークに、多数のフィッシングメールが飛び交った(出典:フィッシング対策協議会)8月をピークに、多数のフィッシングメールが飛び交った(出典:フィッシング対策協議会)

 ノートンライフロックは12月9日に、2021年のサイバー犯罪トレンドの振り返りリポートを公開しました。ノートンは世界全体で1カ月に平均約3億件のサイバー攻撃をブロックし、2021年10月には3億5000万件を突破。前年同月比で151%と激増しました。

 前述の通り、フィッシング詐欺が増加しており、2021年には世界全体で前年同月比278%を記録したそうです。世界中で1カ月に平均420万件のフィッシング詐欺が検知されており、主要国別では、アメリカに次いで多いのがなんと日本でした。