日本でオフィスビル等の駐車場運営を手掛ける日本駐車場開発(株)の中国現地法人、邦駐(上海)停車場管理有限公司董事長兼総経理の松尾秀昭氏(本社常務取締役)に、同社の中国事業、中国の駐車場事情について聞いた。

中国では駐車場運営は
重要視されていない

中国の駐車場受託事業はブルーオーシャン<br />「日本式駐車場管理」のブランド化で認知拡大中<br />——松尾秀昭・邦駐(上海)停車場管理有限公司董事長兼総経理インタビュー松尾秀昭・邦駐(上海)停車場管理有限公司董事長兼総経理

――オフィスビル、商業施設等の駐車場運営を代行するという御社のビジネスモデルは、これまで中国では存在しなかった新しいビジネスですね。

 その通りです。これまで中国でのオフィスビル、商業施設等の駐車場運営は、ビルのオーナー自身、または建物全体の管理運営を担当している物業管理会社が行うのが普通でした。駐車場に特化して受託運営するビジネスは、中国では今のところ当社しかやっていません。

 これまで中国の不動産ビジネス業界では、駐車場運営はあまり重要視されていませんでした。中国では駐車場の時間貸し料金が政府機関の決めたガイドラインに沿う形でコントロールされていることもあり、建物のテナント賃料収入と比較して、儲かるビジネスだとは考えられていなかったのです。例えば上海中心部である陸家嘴のオフィスビルの時間貸駐車場料金の上限は10元/時間です。しかも、24時間駐車した場合でも1日の駐車料金は8時間分で打ち止めになってしまいます。

 つまり、不動産価格が東京と同じかそれ以上の水準にある上海の中心部でさえ、時間貸し駐車料金の相場は東京の5分の1(東京は600円/時間、上海は125円/時間)で、月極駐車場料金も3分の1程度なのです。

 そんな状況ですので、駐車場の運営レベルも日本とは全く違います。中国では駐車スペースに管理担当者はいるにはいますが、駐車料金を集めること以外に、不審者が入らないかときどき見ている程度の仕事しかしていません。上海で一流と言われているオフィスビルでも、不審車両が駐車していないかどうかの見まわりチェックや車寄せでのドアサービスがないのはもちろんのこと、駐車場内の車の誘導さえないところもあるくらいです。