オミクロン急拡大の欧米各国に学び、
日本での感染爆発を食い止められるか
感染者数の落ち着きで、マスクを外すなど日常に戻りつつあったイギリスでしたが、12月6日にイギリスで発見されたオミクロン株新規感染者は、3週間足らずで急拡大し、1日10万人を超えています。市中感染は一気に拡大するものと緊張を覚えます。
在宅勤務が徹底され、夜はゴーストタウン。緊急事態宣言は出ていないものの、市民は自粛体制です。感染者だけでなく、隔離された濃厚接触者が膨大な数となり、飲食店や娯楽施設は閉店し、鉄道などのインフラが一部運休となっています。社会機能が停滞しているのです。
当然ながら、医療インフラにもその影響が及んでいます。入院リスクは50~70%に収まっていましたが、軽症でも10日間の隔離となる医療従事者が大変な数となり、病院のオペレーションが回らなくなりました。この医療ひっ迫の事態を受け、イギリス政府は隔離期間を7日間に縮小する見込みです。
デルタ株の落ち着きとワクチン接種の進展により、ウイルスとの共存を選んだフランスだけでなく、イタリア、オランダ、ドイツ、さらにはオーストラリアや韓国でも同様の感染拡大を見せています。
米国では、1日当たりの新規感染者が100万人を超える日も出ています。入院者、死者数の伸びは緩慢ですが、予断を許しません。
各国で重症化率が低く、死者数が少ないためにロックダウンまではいかないものの、屋外でのマスクの義務化や飲食店でのワクチン接種証明提示など、行動制限を強めています。
日本では、徐々に感染者数が増加傾向にあります。これは感染爆発の予兆とも言えます。想像以上の急激な拡大を覚悟して、来るべき感染爆発に備えるべきでしょう。
次回は、新たな治療薬などの希望についてお話しします。
(監修/一般社団法人 荏原医師会会長、木内医院 院長 木内茂之)
*感染者数やオミクロン株対策は各自治体において、刻々状況が変わると予想されます。本稿の情報は2022年1月7日時点のものです。