◇言い争いを招く「そんなことより」

 社内の親睦会を上司に提案したら「そんなことより、契約の件どうなった?」と言われ、夫に子どもの進学先を相談したら「そんなことより、ローンの借り換えの件だけどさ」とスルーされ、ショックを受ける。

「温かい雰囲気の職場にしたい」という想いや「子どもの将来を考えたい」という親心から言っているのに、それを「そんなこと」とないがしろにされてしまうと悲しい。

 ここで「そんなことってどういうことですか?」「どうでもいいってこと?」と言い返してしまうと、言い争いになる。そうではなく「どちらも大事ですね」と自分が大人になって受け止めよう。

 あなたにとって親睦会や子どもの進学先が大事なように、上司にとっては契約が、夫にとってはローンが大事だったというだけだ。

「そんなこと」という言葉は無神経な言葉だが、根本にあるのは「価値観の違い」だ。価値観はどちらかに優劣をつけるものではない。波風を立てない言い方をしたほうが平和でよい。

◆乱暴な言葉
◇ダメダメ上司の「いいからやって」

 コピーの取り方だって会議の目的によっては工夫の余地がある。気を利かせて「このコピー、何の会議で使いますか?」と聞いたら「いいからやって!」と冷たいひと言が返ってくる。こんな言い方をされては、自分の仕事には考える価値もないのかと悲しくなる。

 しかし落ち込む必要はない。こういうときには相手の状況を想像してみよう。まず考えられるのは「相手がテンパっていて余裕がない」状況だ。複数の案件を抱えていて忙しかったり、上司から急かされたりしているなど、普通の精神状態ではないのかもしれない。「かわいそうだな」。そんな風に思えたらしめたものだ。

 もしくは相手が「シンプルに仕事ができない人」の場合もある。仕事ができる人は雑なコミュニケーションをしないものだ。何か仕事を頼むなら、きちんと目的や留意点まで細かく伝えるし、終わったら必ず感謝を示す。

 繊細な人は想像力豊かで「深読み」できる人だ。しかし、残念な人のためにまで反省したり落ち込んだりすることはない。