中国の不動産投資と住宅価格は、経済危機後、大きな変動を経験した。中国経済の動向を理解するためにも、不動産投資と住宅価格のデータを把握しておく必要がある。

大きな変動を経験した住宅価格

 経済危機後、現在にいたる期間を、つぎの3つに分けて考えることができる。

(1)住宅価格の高騰(2008、09年)

 経済危機に対応するため、中国政府は、2008年後半から巨額の景気刺激策を実施した。不動産に関しては、住宅取引関連税の税率引き下げまたは免除、住宅ローン金利の引き下げ、2戸目住宅購入規制の緩和などを実施した。このため、不動産業の投資が大幅に増えた。また、4兆元経済対策の効果もあり、不動産価格が高騰した。この時期には、投機目的での購入もかなり増加したと考えられる。

(2)住宅価格の下落(2010、11年)

 ところが、住宅価格がバブルの様相を見せてきたため、中国政府は、価格抑制のため、2010年に入ってから抑制策を打ち出した。投機性の強い住宅購入に対する融資条件の厳格化をはかり、2戸目住宅購入規制を強化した。また、金融引き締めを行なった。

 この結果、北京市、上海市、深圳市などでは、住宅価格が下落した。11年11月、上海市で住宅価格が2−3割下落し、高値で購入したオーナーが開発業者に抗議する動きに発展した。北京市や深圳市などでも、一部の物件で3割の下落率を記録した。価格下落は、中都市にも波及した。

(3)不動産市場の回復(2012年)

 2012年になって、経済成長率の落ち込みが明らかになったことから再び緩和策が行なわれ、住宅価格は回復したと見られる。