The New York Times紙によると、こうした研究の中には、従来の変異株への感染では重症化したゴールデンハムスターを用いた研究も含まれている。この研究について報告したグループの一人で、米ワシントン大学のウイルス学者であるMichael Diamond氏は、「従来の変異株は、いずれもゴールデンハムスターに強い感染症状をもたらしたため、この研究結果は予想外だった」とするコメントを同紙に寄せている。

 また、従来の変異株を動物に感染させた場合と同様、オミクロン株を感染させたハムスターでも鼻粘膜にウイルスの存在が確認されたが、Diamond氏らの実験では、肺に存在するウイルス量は従来の変異株の10分の1以下にとどまっていたという。ただし、動物を用いた研究の結果が人間でも再現されるとは限らないことは認識しておく必要がある。

 一方、日本と米国の研究者らによる大規模コンソーシアムは12月29日、ハムスターとマウスを用いた研究の結果を発表した。それによると、オミクロン株に感染させた動物は死亡リスクが低く、体重減少や肺の損傷も軽度であったという。

 さらに、香港大学のグループが実施した、肺の組織検体を用いた研究から、オミクロン株は従来の変異株よりも増殖スピードが遅いことが明らかになった。この研究結果は、デルタ株の感染者に比べてオミクロン株の感染者では入院リスクが低いことの理由を解明するのに役立つ可能性がある。とはいえ、今後さらなる研究を実施して、この結果を検証する必要がある。

 英ケンブリッジ大学のウイルス学者であるRavindra Gupta氏は、オミクロン株が肺まで到達しにくい理由について、分子レベルの視点から説明している。新型コロナウイルスのヒトへの感染経路の1つとして、肺の多くの細胞に発現しているTMPRSS2というタンパク質分解酵素が関与するものがある。従来の変異株は、TMPRSS2の関与でヒトの体内に侵入していたため、肺での感染が顕著だった。しかしオミクロン株では、TMPRSS2の作用が阻害されるような変異が起きているため肺細胞には感染しにくく、結果的に重症化が抑制されるのだという。実際にオミクロン株は、デルタ株のように強力に肺細胞に感染しないことが、同氏のグループによる研究や英グラスゴー大学のグループによる研究から明らかにされている。

 ただしDiamond氏は、現時点では、TMPRSS2がオミクロン株感染の仕組みを解明する上で鍵を握っているとは言えないことを強調。また、オミクロン株の感染力がこれほどまでに強い理由も明らかにされていない点を指摘している。(HealthDay News 2022年1月3日)

https://consumer.healthday.com/b-1-3-2656209316.html

Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.