50歳からの加入で
どれぐらいの資産を作ることが可能か？

　では具体的に50歳から加入した場合、どれぐらいの資金をこしらえることが可能になるだろう。これはケースによって掛け金額の上限が異なるため、一概には言えないものの、サラリーマンで企業年金のない会社に勤める人の場合、実際にはこういうケースが数の上では最も多いと思われるので、この条件を前提に考えてみよう。

　この場合の掛け金上限額は月額2万3000円、年間に直すと27万6000円となる。50歳から65歳まで15年間加入すれば積立額の累計は414万円、仮に年率3％で運用できたとすれば、元利合計は523万円となる。これに加えて掛け金の全額が所得控除される。この場合も年収によって金額は異なるものの仮に年収を500万円と仮定した場合、毎年の所得控除によって戻ってくる税金は、15年間で約83万円となる。

　したがって、積み立て・運用による元利合計523万円と合わせると金額は600万円を超える。それに、これは1人の数字であるから、仮に夫婦の場合は、50歳からでも共働きで夫婦そろってiDeCoに加入すれば、1100万円以上の老後資金を作ることができる。

　現在では多くの企業において定年は60歳であるものの、その後65歳までは再雇用などの形で働く人は多い。仮に再雇用で働き続けて65歳で完全に退職したとしても、そこから受け取る公的年金や会社の退職金に加えて1000万以上の資金を50歳からでもこしらえることが可能となるのだ。この安心感は大きいのではないだろうか。