レッドブルもモンスターエナジーも、モータースポーツやエクストリームスポーツでスポンサー活動を行っている。エナジードリンクはギアを上げるためにはピッタリな飲み物であるから、ブランドイメージのために生ぬるいメッセージで広告展開はできないというのもあるだろう。
 
 また、エナジードリンクの成分は商品ごとに異なるが、消費者が数ある商品からどれを選ぶかは、正直なところ価格と味とフィーリングである。フィーリングはブランドイメージの担うところが大きい。ブランドイメージを形成するため、広告や商品デザインは最も大きな役割を果たすツールであり、各社で独自性を出して差別化を図ろうと骨を折っている。
 
 レッドブルの「くたばれ、正論。」広告はとがり感を出そうとした結果、響く人には響いたであろうが反感を招くことにもなった。一方、モンスターエナジーが一貫して行っている“モンエナポエム”は、敵を作らないように仕上げられている点が秀逸である。「とりあえずこの商品はヤバい」といったことを主張しているだけなので、「テンションが合わない」と思った人はスルーすればよく、あえて反論しようという気持ちにさせられるような内容ではない。
 
 とはいえ、すごいテンションで「マジでヤバいから」調の主張がつづってあるだけなので、あまり知的な味わいではなく(ただ、あの文章を書くことができる人は相当知的である)、「読み手に頭を使わせる」という点ではレッドブルに軍配が上がる。どちらも一長一短である。
 
 そして両者、およびその他のエナジードリンク缶に記載されているポエム調の文章に共通しているのは、どれも「非常に抽象的」ということである。少なくとも商品の具体的な内容について理解を深めるようなものとして位置づけられていない。