衆議院議員選挙が、いよいよ次の日曜日に迫ってきた。

選挙の結果がどうなろうが、とにもかくにも一市民としてできることは、自分と大切な人たちの生存と生活を守り、日常を生き抜くことでしかない。

現在の社会の基礎である民主主義の現場は、日常のどこにあるのだろうか?そこでは、生活保護をはじめとする社会保障の問題が、どのように立ちあらわれてきているだろうか?

今回は、ツイッターで強い影響力を持つ「のいほい」氏の、社会保障と民主主義への思いを紹介する。

新聞に全面広告を載せた市民たち

 2012年7月12日、毎日新聞朝刊に、

「制度を改正するために個人を攻撃する必要はありません」

 というコピーを中心とした全面広告が掲載された。この全面広告は、2012年5月25日にはじまった、生活保護バッシング報道への異義申し立てであった。

 2012年5月から、この意見広告が掲載された2012年7月にかけて、何が起きていたのだろうか? 意見広告のコピーから、この時期の状況を振り返ってみよう。

生活保護バッシングは高齢者批判そのものだった?<br />政治家まで“弱者の論理”を持ち出す日本への危機感2012年7月12日、毎日新聞朝刊に掲載された「シビル アクション ジャパン」の意見広告。インパクトのあるデザイン、明快で印象的なコピーにより、生活保護問題に関する冷静な議論を呼びかけた
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5月25日。とても悲しい出来事がありました。

あるテレビタレントの母親が「生活保護を不正に受給していたのではないか?」

というスキャンダルがワイドショーなどをかけめぐりました。

それと相前後し、ワイドショーのみならず国会議員までが、公然と個人名をあげ攻撃をするという悲しい局面に事態は発展し、ついに、厚生労働大臣が、生活保護基準の引き下げの検討を表明するに至りました。

はたして、こうした「個人への批判や糾弾、メディアによる吊し上げ」を生活保護制度の真摯な議論の代わりにして良いものでしょうか?

(毎日新聞朝刊2012年7月12日付『シビル アクション ジャパン意見広告』より)

 ツイッターで強い影響力を持つ「のいほい(ツイッターアカウント:@noiehoie)」氏ら有志は、2012年5月、日本全体を巻き込んだと言っても過言ではなかった当時の動きに対し、新聞に意見広告を掲載し、異議申し立てを行う運動を呼びかけた。多くの人々が、賛同の意を表明した。必要な費用は、募金で賄った。募金の総額は、2012年6月中には600万円を突破。デザイン・コピーライティングなどは、趣旨に賛同したプロがボランティアで行った。