円安と原油高は継続する
各社の取るべき戦略は?

 さて、100均市場が拡大した過去20年の間に、実は今よりも原油が高くなった時期がありました。2013年から2014年頃がそのタイミングで、当時はダイソーの商品棚からゴミ箱やプラスチックケース、クリアファイルなどが品薄で消えたこともありました。

 この頃から100均の中に200円、300円、500円(表記は税前、以下同じ)といった違う価格の商品も本格導入され始めました。

 当時は、「全部100円だと思ったのに違うのか?」とクレームが入るケースもあったようですが、現在では高額商品が100均の棚に一緒に並んでいるという状況は、広く消費者に知れ渡っているようです。

 とはいえ、当時の100均危機は企業努力で回避できるレベルの危機でした。仕入れ価格が上昇した商品に関しては、プラスチックを薄くしたり、サイズを小さくしたり、メンディングテープのような商品では長さを短くしたりといった、いわゆるステルス値上げで調整ができたものです。

 今回のインフレ事情がそれと違うとしたら、現時点で仕入れ値が高くなってきているだけではなく、この先、もっと仕入れ値が上がる可能性がかなり高いという点です。

 今回、円ドルレートが円安に振れたのはアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の金利政策と日銀の金利政策の違いが原因です。しかし、結論から言えばこの政策の違いはこの先、力学的にさらに円安の方向に働きます。そして脱炭素の流れを考えると、これから先、石油に関するコストも長期的には上がることに間違いありません。つまり、プラスチックの価格も長期的には上昇傾向になるはずです。

 100均商品の仕入れ値が今後、継続的に上昇していくと仮定した場合、100均各社はどのような戦略を取るべきなのでしょうか? 具体例を見ていきたいと思います。