よくある行動や選択の理由と、そのための簡単な対処法やワークがふんだんに盛り込まれている。だれにも、必ず当てはまる「お悩み」があるはず。ぜひ通読して、試してみてほしい。(大島季子)

本書の要点

(1)本当に行きたいのと違う方を選んでしまうときは、自分を客観視して原因である「自分のクセ」にさえ気づければ、意外と簡単に解決する。そのクセの多くは子ども時代の環境や人間関係からきている。
(2)ダメな相手とばかり付き合ってしまう心理メカニズムがいくつかある。それが認識できれば、その相手への執着が薄まり、望ましい相手を自然と引き寄せられるようになる。
(3)しがらみや世間の常識にとらわれて本当にやりたいことができない。先の不安で頭がいっぱいになる。そういう時に、ちょっとした行動や言葉でガラリと意識を変えられる簡単なメソッドがある。

要約本文

◆行きたい方向と違うのはどうにもならない?
◇断れないのは気が弱いから?

「なぜあんなことを言ってしまったのだろう、やってしまうのだろう」。生きていると悩みは尽きない。でも、自分を客観視することで原因となっている「悪いクセ」が見えれば、意外なほど簡単にこれまでの悩みから解放される。よくあるケースから「悪いクセ」のタイプを解説していこう。

「言いたいことが言えない」という人は「自己犠牲タイプ」だ。言いたいことが言えないのは気が弱いからと思われがち。だが実は「自分が犠牲になればうまくいくから」と思っているのだ。小さい時から家族にとっての良い子、ダメな子を演じ、自分がストレスを受けることで「家族という世の中」をうまく回す。だから、大人になってもやりたいことを我慢してしまうのだ。

 もし「言いたいことが言えない」と思ったらその瞬間、「自分は自己犠牲をしようとしている」と気づいてあげよう。それだけでも気の持ちようが大きく変わる。

「本当は断りたいのに、頼まれると断れない」という人も多いだろう。そのような人は「英雄タイプ」だ。家族関係がギクシャクしていたりして、子どもながらに「守ってもらえない」と感じていたから、「自分が英雄になって」守ろうとする。それは「自分は大切にされる価値がない」という自信のなさと裏返しだ。だから、人を助けることに価値を見出そうとする。