5~6年前くらいから始まったこのカフェブーム。コピカリアン・ジャパンのケニー氏は、そのきっかけの一つは「流通の改善にある」とみる。オーストラリア産の牛乳が市場に出回るようになったのはその一例だ。また、アメリカなどへ海外留学したことがあり、バリスタの経験もあるような若者がインドネシアに帰ってきて「カフェがない、それなら始めよう」と思い立って開業するパターンも多いという。

 そんな「インドネシアドリーム」を鮮やかに描いたのが映画『Filosofi Kopi』(2015年)だ。理想のカフェをオープンすべく若者が奮闘する模様を描き、国内でヒット。ちなみに、同作はインドネシア人作家ディー・レスタリ氏による同名短編小説をもとにしており、この一編を含む短編集が2019年に日本語に翻訳されている。

インドネシアのカフェチェーンは日本で成功できるか?

 そんなインドネシア発のカフェチェーンについて、日本のコーヒーの専門家も一目を置く。カッピングスキルにより味覚の違いを判別する技術を競うジャパンカップテイスターズチャンピオンシップで去年優勝した古橋見洋氏は、筆者の取材に対して、アメリカや国内発のチェーン店が飽和状態にある日本で、インドネシアのカフェチェーンがそれでも成功していく可能性を指摘する。

「(コーヒー豆)産地とつながっているコーヒー店は有利ですね。情報量の差もあるし、思いも違うと思いますし」(古橋氏)

 インドネシアが昨年末から世界的に有名なコーヒーコンテスト「カップオブエクセレンス」をアジアで初めて開催したことで、インドネシア産コーヒーの品質と価格がさらに上がるのではないかと古橋氏はみる。