そのため今、映像産業は急激な市場拡大を続けている。特に動画広告市場は、2021年の4205億円から2024年には8746億円にまで伸びると予測され、企業や消費者のコミュニケーション手段として動画・映像は欠かせないものになっている(オンラインビデオ総研の調査)。

 さらに2021年から、VR技術の進化に伴いメタバースが注目を浴びており、映像産業はさらなる拡大が予想されている。

 市場が大きくなれば制作数が増え、制作を担う映像クリエイターの需要も増えていく。しかし、クリエイターは需要に比べ圧倒的に不足しており、大きな問題となっている。

大手人材エージェントが
映像人材のマッチングに苦労する事情

 この課題を解決するために始まったサービスがある。2021年にスタートした「Vook(ヴック)キャリア」だ。これは企業とクリエイターをつなぐマッチングサービスで、「Vook」という映像クリエイター向けの大規模な情報サイトを基盤にして立ち上がった。

年収1000万円もザラ!映像クリエイターが「稼げる職業」になったワケVookキャリアは、動画制作を希望する企業とクリエイターをつなぐマッチングサービス。正社員だけでなく、業務委託など自由な働き方が選択できる

 企業が人材を採用する場合は、大手エージェントに依頼するのが一般的だが、採用担当者が映像に詳しくない場合が多々ある。そのため同社に人材紹介の問い合わせが相次ぎ、Vookキャリアを立ち上げたという経緯がある。

「映像クリエイターを採用したいが、どこに依頼すればいいのかわからないという問い合わせが企業から数多く寄せられました。一方、クリエイター側もどのようにキャリアを積めばいいのか悩んでいる人が大勢いました」(Vookキャリアを運営する株式会社Vook代表取締役CEO岡本俊太郎さん、以下同)

 マッチングの手順はこうだ。登録希望者は職務経歴書とポートフォリオを送信。その後、専任のキャリアコンサルタントが面談。本人の希望や指向を十分に確認し、ふさわしい求人を紹介。クリエイターが望めば、企業との面談を調整したり、選考の段取りを進めたりする。キャリアコンサルタントは、映像業界でキャリアを積んだスペシャリストばかり。仕事の中身を誰よりも熟知している。

「映像クリエイターと一口に言っても職種は多岐にわたります。ディレクターをはじめ、ビデオグラファー、エディター、CGクリエイター、VFXアーティスト……。その人が何を得意としているのか、ポートフォリオを見て判断していきます。しかし、それだけでは最適な提案はできません。本当は何に向いているのか、これからどうキャリアを積んでいくかをじっくりと話しあった上で、最適な求人を紹介します」