2012年の締めくくりとして、決算短信で公表される「業績予想」をもとに、業績好調と目されている企業を〔図表 1〕にまとめてみた。「決算月」の列にある「12月」は2012年12月期、「3月」は、2013年3月期を表わしている。「会計基準」の列に「IFRS」とあるのは、指定国際会計基準(連結財務諸表規則1条)である。

「弱気なトヨタ」と「強気のNTT」<br />2013年3月期の業績予想を占う

 〔図表 1〕から、いくつかの特徴を指摘できる。

 1つめは、米国基準とIFRS基準を採用している企業には、「経常利益」の概念がないことだ。経常利益の予想を開示していない企業は、「税金等調整前当期純利益」のほうを開示している。

 その結果、上場企業の業績予想の欄は、「経常利益」と「税金等調整前当期純利益」が入り乱れた状態になっている。金融商品取引法1条「企業内容等の開示の制度を整備する」目的は、どこへやら。日本の会計制度は、統制機能を放棄しているようだ。