タフな主張力の相手への傾向と対策

 次の図を見てください。

 文化における情報伝達の考え方とコミュニケーションスタイルを「コンテキスト」(一般的には内容、あるいは状況の意味で使われる)という視点で分析したことで有名な、アメリカの人類学者E・T・ホールの4冊の著作による研究を私がまとめたものです。

 ごく簡単に言えば、高コンテキスト文化とは「周りの状況に鑑みれば情報は大体わかるから、明言を避けてうまく人間関係を丸く収めよう」という社会観です。

 この表でわかるように、60年ほど前までの中国は世界一もの言わぬ国であり、第2位が日本でした。

 ところが今はどうでしょうか。世界一ものを言っているのは中国人かもしれません。

 私が20年前に経験した事件は、まさに現在の中国の自己表現パターンが変身する予兆だったに違いありません。

 もし今ホール先生が同じ調査をすれば、おそらく中国が低コンテキスト文化の第1位。高コンテキスト文化第1位に日本が居残り、となるでしょう。

 大事なことは、我々はまず、彼らの主張に飲み込まれないことです。

 そのために、主張すべきは主張する勇気と習慣をもちましょう。

 さらにその次に必要なことは、知性と感性があるだけでは、何も始まらない、いや、それだけでは、太刀打ちができないことを肝に銘じることです。

 今必要なのは、この2つの知性(IQとEQ)をどう表現するかという「第3の知性PQ」の存在です。