PQを向上させよう
「役に立つ」と思われる話には3つの条件がある

 どんなに頭の中の知識が豊富で、IQ(知能指数)が高くて、相手の気持ちに気づく力(EQ:感情の指数)が高くても、この2つの知性を的確に表現する第3の知性としての自己表現力(PQ:Performance Quotient)が無ければ、真意が的確には伝わりません。

 ここで非常に重要なことは、PQはIQと違って、考え方と訓練次第でどこまでも無限に伸ばせる力であることです。

 パフォーマンス心理学の研修では、ビジネスマンにも政治家にも学校の先生にも共通した3種類のスピーチの違いをまず明確に知ってもらいます。

(1)楽しませるか(エンタテイメントのスピーチ)
(2)知らせるか(インフォメーションのスピーチ)
(3)説得するか(パースウェイジョンのスピーチ)

 目的が(1)なら、言葉づかいをわかりやすく、さまざまなユーモアのスキルを満載します。時には噺家さんの「オチ」のテクニックを使用したり、ダジャレあり、くすぐりあり、顔の表情変化も駆使して、なんでもあり。相手が笑顔になってくれたらそれで成功です。

 目的が(2)ならば、どんな情報であるかが問題で、不確かな情報なら、無いほうがましです。

 目的が(3)ならば、実はこれは展開のしかたにおいては限りなくロジカルプレゼンに共通するテクニックが必要ですが、内容については私のセミナーでは次の3点を課しています。

A 発見があるか
B 批判があるか
C 統合があるか

 実はこの3点は、東京大学教養学部のテキストとして1994年に出版された『知の技法』(東京大学出版会)や世界の博士論文、その他の論文の書き方の指南書とも共通する基本ルールです。

 自分が伝えたいことが相手が聞き耳を立てるのに値するかを考えると、この3点のチェックは話す前に必ずやっておく必要があります。