ただ、最近のウクライナ情勢を見れば、無防備な国防体制がいかに危険なものかを韓国国民は理解もしているだろう。韓国国民は自国に危険が迫っていると思おうとはせず、それゆえに北朝鮮に対する姿勢は甘かった。だが、その現状認識は決して客観的分析に基づくものではなく、思い込みによる要素が強い。

 したがって尹錫悦政権の発足後は、韓国国民が今の東アジアの地政学を客観的に理解することを期待するとともに、日米が尹錫悦政権を支援していくことが重要である。

 北朝鮮の最近の核ミサイルへの執拗(しつよう)なこだわりは韓国を狙ったものであるとみるべきである。

 また、中国との関係では、今のロシアを事実上支援し、ロシアに対する経済制裁の効果を弱めているのが中国であることを、西側諸国は一様に知っている。それは中国が台湾に侵攻した場合、ロシアの支持を期待してのことである。

 中国は日米韓協力の中で最も結束の弱い韓国の引き離しを画策している。昨年5月の米韓首脳会談、昨年4月の日米韓安全保障担当高官協議が行われる前に、中国は単独で文在寅政権にアプローチし、切り崩しを図ってきたことからも歴然である。

 しかし、中国の韓国を見る視線は冷淡であり、自国の利益のためには韓国を犠牲にしかねないことを知るべきである。それはTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備問題に対する韓国への執拗な圧迫から知ることができる。

 韓国に対する今後の米国、中国、北朝鮮の姿勢は、どうなっていくのか。それを知るために、尹錫悦氏の当選に対する各国の反応を見てみたい。