米国はアジアに先んじて格安航空会社(LCC)が台頭し、航空会社同士の統合が進む。世界の航空市場の動向を聞いた。

ユナイテッド航空社長兼CEO ジェフ・スマイゼック<br />統合は必ず成果をもたらす<br />アジアのLCCは脅威でないPhoto Masato Kato

──2012年第3四半期の業績は減収減益。増益を達成したデルタ航空に売上高でも抜かれ業績に差が出ている。

 デルタ航空とノースウエスト航空は08年に経営統合したが、ユナイテッド航空とコンチネンタル航空は10年に統合した。2年早いぶん、デルタのほうが先に統合効果が表れている。

 航空業界では統合が成功すると確信している。過去、米国では航空会社の数が多過ぎて、航空会社は利益率が非常に低いか損を出していた。現在、経営再建中のアメリカン航空もUSエアウェイズとの統合を検討している。

 ただ、大きな統合メリットが出るには数年の時間がかかる。

 ユナイテッドは統合後、積極的に投資を進めており、ボーイング787を50機、エアバス350を25機、ナローボディ機は150機を投入する。内装への投資やWi‐Fi導入も進めており、顧客に統合成果を実感してもらうのは13年が最初の年になるだろう。

──アジア市場の位置付けは。第3四半期は太平洋路線だけが収入を伸ばしている。

 ヨーロッパは需要が弱含んでいるが、アジアはインドや中国の経済成長に合わせて交通量が伸びており、今後も成長が続くだろう。市場に合わせて供給を伸ばしたい。

──アジアでもLCCが台頭してきている。

 米国は長いことLCCとの競争に晒されてきた。アジアではまだ珍しい現象だったが、新しい競争要因になりつつある。