「誇り高きスタンダード銘柄」に
投資妙味あり?

 ところで、プライム上場のためには、流通時価総額100億円のほかに多くの条件が付けられている。流通株式比率35%以上、3分の1以上の独立社外取締役、気候変動が事業に与える影響の開示、英文での情報開示などだ。

 率直に言って、いささか過干渉のきらいがある。例えば、気候変動が事業に大して影響しない会社もあるだろう。東証もESG(環境・社会・企業統治)のキーワードでビジネスをする「ESG商人」たちに担がれたか。

 こうした条件のあれこれが自社の経営に適している会社もあるだろうし、そうでない会社もあるだろう。

 プライム基準ぎりぎりの会社の多くにとっては、これらの条件が余計な制約や手間とコストになる場合が少なくないだろう。しかし、経営者のプライドであったり、社員の採用(本当に有効なのだろうか?)に対する影響などへの考慮であったりで、無理してプライムを選んだ会社は少なくあるまい。取り巻き社員にとって、社長に「プライム上場は余計なコストが掛かるのでやめておきましょう」とは言いにくい場合が多いだろう。

 しかし、プライム上場の基準を満たしながらも、会社の事業内容や経営スタイル、諸々のコストなどを考慮してスタンダード市場を選択した企業もある。「名」ではなく「実」を取ることを選択した経営姿勢に思えて、好感が持てる。

 投資の観点では、こうした会社を調べてみたい気持ちになる。興味のある向きは、スタンダード市場の時価総額上位銘柄を探すといい。