一方、ANAHDと比べ「良くも悪くも人を大事にする社風」とJAL社員が自ら称する同社では、本体所属のある若手CAが会社の雇用確保策におおむね理解を示す。

 この若手CAによると、特に21年度になって社外に出向するCAが増えた。地方自治体の事務だけでなく、中央省庁幹部の秘書として働いている同僚もいるという。

 CAの間で特に人気が高いのがコールセンターで、客とは電話で声のみのやりとりとなるが、接客スキルの活用や向上につながると考えられている。受け入れ側の繁忙期に募集が増える。

 コールセンターと同じくらい人気なのが冒頭で紹介した「JALふるさと応援隊」だ。フライトのない日に動画の収録などをすればよく、応募が殺到しているというが、「ふるさと応援隊はCAの基本給の中で行う業務で、追加の給与の支払いはない」(JAL広報部)。

 そのため、「同僚に聞くと、年収はコロナ発生直後は半減していたが、国内線の需要回復や出向先からの給与で、3分の2程度にはなっている」(前出のJAL本体の若手CA)。

 さらにJALでは「CAよりグランドホステスなど地上職の待遇はより厳しい」(JAL関係者)との声がある上、「外資系航空会社なら、クビになって終わり」(前出のANAグループ会社CA)というもっと悲惨な現実もある。

 経営へのダメージが比較的軽いJALは23年度入社の本体のCAの募集を再開するが、ANAHDはピーチは募集するものの、本体のCAは募集しない予定だ。

 フライト激減という未曽有の事態で会社の対応も追い付かず、生活苦に陥ったCA。コロナの感染状況が再び悪化した場合、JALとANAHDは雇用を維持し続けられるだろうか。

Key Visual by Kaoru Kurata, Kanako Onda, Graphic:Daddy’s Home