水とせっけんを活用
食事は茶色い食べ物も◎

 とはいえ、まだ感染状況が落ち着かない今は、消毒や除菌をせずに暮らすというのは心配だ。適切な消毒の仕方を伊藤氏に教えてもらった。

「まず、次亜塩素酸ナトリウムの使用頻度に気を付けましょう。流水とせっけんでの手洗いが基本です。病原微生物の表面には水成分と油成分の両方の性質があり、せっけんの両親媒性(水と油を離す作用)で病原微生物を離すことができます。また、流水によって菌を手の表面からウォッシュアウトしてくれます。まずは流水と石鹸での丁寧な手洗いを行いましょう」

 手が洗える状況なら流水とせっけんでしっかりと手を洗うのが最適解といえよう。もしも手洗いが難しい場合は、アルコールを用いて除菌するのが良いそうだ。

 だが、正しい消毒の仕方を心がけたとしても、それだけでアレルギーリスクを下げられるわけではない。

「運動や睡眠、食事も気を付けましょう。運動は、有酸素運動と筋肉を鍛えるレジスタンス運動の両方を取り入れると、免疫力アップにつながります。睡眠は、7~8時間の睡眠時間が確保できるとベストです。テレワークだと生活リズムが乱れがちですが、昼夜逆転生活はそれだけで腸内細菌の状態が変化して免疫を下げるので要注意です」

 日常生活のなかでも、とりわけ腸内環境と関係してくるのが食事だ。伊藤氏は「発酵性食物繊維を積極的に摂取して」とアドバイスする。

「腸内細菌が食物繊維を分解し、人体に有益な物質を作り出す過程を『発酵』と呼ぶのですが、食物繊維のなかでも特に発酵されやすいものを『発酵性食物繊維』といいます。発酵性食物繊維は腸内に善玉菌を増やして活性化させる『短鎖脂肪酸』を作るので、アレルギーリスクを抑えるには最適です。発酵性食物繊維は、大麦、オートミール、小麦のふすま、大豆製品など、茶色い穀物に豊富に含まれています」

 新型コロナを極度に恐れて過剰に消毒をしたり、人との接触を徹底的に避けたりすると、コロナウイルスには罹患(りかん)しなくても、アレルギーや、他の疾患を引き起こす恐れがある。本末転倒にならないよう、適切な消毒と、腸内環境を健康に保つ生活習慣を心がけてほしい。