「キレる」は決定的にダメだが、自分はこんなに立派な人間なのだと「威張る」のもいけない。筆者は、「威張っている」と思われて、同時に尊敬もされた人物を知らない。

 また、自分が不満を持っていることを他人に分からせようとして、あからさまに「すねる」のもダメだ。大人は、幼稚で弱い他人に対して興味を持たない。

強い新人に贈る
「小さな戦い」の勧め

 前記のような「自爆」が良くないのは、相手の行動を変えることが目的なのに、自分だけをリスクにさらした上に効果が見通せないからだ。

 相手の行動を変えるには、「この人物には協力しないと自分が損をする」と相手に思わせることだ。

 あなたは、「強い新人」なのであった。ゴマすりや便利屋をやって、「この新人は少々利用価値があるな」という程度に思われることを目標にはしたくないはずだ。

 アプローチは二つあるが、お勧めするのは「小さな戦い」だ。

 相手は、上司であっても気に障る先輩社員でもいいが、第三者の見ている前で「勝負」して勝つのだ。この手段は、働くに足るくらいのレベルの会社でなら、「手柄を立てて評価してもらって、気に入ってもらう」よりも、何倍も有効なはずだ。

 例えば、会議で上司を論破する。あるいは、仕事にあって能力が上であることを具体的に示す。

 後者は、かつてであれば、例えば英語のレベルが上であることなどを示すような少し嫌味なやり方があったが、今は「英語」がどれくらい有効かは少し微妙だ。平成の前半くらいまでは、「英語だけはよくできる」という人物が、ほかのことは全くできなくても有利なビジネス人生を送れる世界が日本にはあった。

 今日だと、スキル勝負ならITスキルや法律知識などだろうか。狙いを付けた先輩社員と同じ仕事をして見せて、能率も完成度も圧倒的に勝っていることを一度示すといい。もちろん、業務に関連する知識での勝負や、顧客の獲得といった数字で勝負する正攻法でもいい。仕事だという建前があるので、露骨に競ってもいい。

 肝心なことは、上司を相手にする場合は、上司の上司や他部署の人たち、先輩社員を相手にする場合なら上司や同僚など、「相手が負けたことを見届けてくれる有効な第三者」を確保した上で勝負することだ。