心の負担が少ないときは「与える」ことができても、与えることが続いたり他の問題で心がしんどくなっていたりすると、いつの間にか同じ行動が「犠牲」になってしまい、自立の依存問題が出てくるわけです。こうした傾向がある方はたくさんいると思います。

 特に義理堅い方や人に頼るのが苦手な方は、少々しんどくても無理してがんばってしまうため、不満が溜まるどころか心身の調子を崩してしまうことすらあるでしょう。だから、思い当たる方は自分の心の状態をいつもチェックして、「今回も幹事を引き受けるのか、それとも今回はやめておくのか」を常に選択するのがおすすめです。

 つまり、「与えたい気分のとき」は幹事を引き受けるけど、「犠牲になってしまいそうなとき」は断ることも大事なのです。もしあなたが「なんか、今回は無理かもしれない」と感じたとしたら、それは思いきって「No」を言うべきときだと覚えておいてください。

気分を下げる“モヤモヤ”から自分を守るヒント

“モヤモヤ”から自分を守るヒントの1つをご紹介したいと思います。

 皆さんは「思考のクセ」というのをご存じでしょうか。たとえば、「つい何でも悪く捉えてしまう」とか、「ホメられると何か裏があるんじゃないかと疑ってしまう」とか、「いいことがあると、次は何か悪いことが起きるんじゃないかと思ってしまう」など、私たちは「思考のクセ」をたくさん持っているのです。

「私ばかり損する」という思い込みもまた、思考のクセの一つと言えるのです。

 カウンセリングでこのような思考のクセを聞いたときは、「別にそれを変えようとか捨てようとか思わず、自分がそういうクセを持っていると意識しておくだけでいいです。忘れそうならスマホにメモして、ときどき思い出すようにしてみましょう」と提案します。

「私ばかり損してるなんて被害者的な考え方、もうやめたいんです」という思いは切実なものですが、それは「今の自分を否定すること」になると思いませんか?「今の自分はダメだから、もっといい自分にならなきゃいけない…」。そんな思いが根っこにあるのかもしれません(これもまた思考のクセですね)。

 自己肯定感というのはいいも悪いもぜんぶを受け入れることですから、ただ「今の私はそうなんだな」と思っておくだけでいいのです。「私はこんな思考のクセがあるんだな」というように。

 それを批判したり、直そうとしたりする必要はありません。