巧妙化し、見えにくくなった
談合・リベートの罠

 こうした談合・リベートの例は、私も昭和の時代や平成の前半までは何度か見かけたが、だんだんと目立たなくなってきていた。ところが今回、久しぶりに明確な談合・リベート事案を目の当たりにし、令和になっても、いまだにこうした時代遅れの考え方で大規模修繕工事を受注している設計コンサルタント会社や工事会社が存在することに驚いた。

 職業柄、私はマンション管理組合だけでなく、たくさんの工事業者や関連会社とも付き合いがあるため、談合・リベートに関する実情もかなりタイムリーに把握しているつもりである。そんな中で強く感じるのは、談合・リベートの手法が確実に巧妙化しているということだ。

 例えば今回の事案のように、有名工事会社が直接受注するのではなく、一見無関係を装った仲間内の設計コンサルタント会社が受注して裏で結託する、いわゆる「裏JV(ジョイントベンチャー)」を組む。そして、工事に関わるさまざまな会社がマージンを取り、最終的には親玉の有名工事会社にもリベートが渡るように仕組まれるのだ。昔のように明確には談合・リベート事案とわからないケースが増えてきているのである。

 素人である管理組合の理事や専門委員会の委員には、そんな巧妙な手口を見破ることは至難の業だが、少なくとも工事費やコンサル料の安さだけで大規模修繕工事のパートナーを決めることはやめるべきである。

 なお、過去にも何度か談合・リベート問題について記事を書いているので、ご興味のある方はご一読いただきたい。

マンション大規模修繕で住民を食い物にする呆れた業界の実態
マンション大規模修繕で「談合」業者横行、その悪質手口とは
マンション大規模修繕の談合を仕切る悪徳コンサルの呆れた実態
怒れマンション住民!大規模修繕で跋扈する「談合・リベート」の実態

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
18段落目:「直接工事費は含まない」→「間接工事費は含まない」
(2022年5月17日23:20 ダイヤモンド編集部)​