5月9日の戦勝記念日に
プーチンが宣言したいこと

 さて、5月9日には、「対独戦勝記念日」がある。これは、ソ連がナチスドイツに勝利したことを祝う、ロシアで最大の祝日だ。

 ロシアでは、70年以上前の勝利を、あたかも「昨日戦争に勝利したかのように」祝う。ロシア国民は、戦死した自分の祖父母、父母の写真を掲げ、市街を大行進する。

 プーチンとしては、この日までに、大きな戦果を上げたいところだろう。

 こうした中、4月18日にウクライナ東部ドンバスでの戦いが始まった。

 ウクライナには、ルハンシク州、ドネツク州があるが、「ルガンスク人民共和国」「ドネツク人民共和国」ともに、全ルハンシク州、全ドネツク州を支配しているわけではない(ちなみに、ロシア軍の容赦ない攻撃によって市全体が廃墟と化したマリウポリ市は、ドネツク州に属している)。

「ドンバスの戦い」の目的は支配領域を全州に広げることにあるのだ。

 既述のように、「ルガンスク人民共和国」「ドネツク人民共和国」は、2014年4月に建国を宣言した。そして、ロシアが独立を承認したのは2022年2月21日だ。

 さらに全ルハンシク州、全ドネツク州を支配したことをもって、プーチンは5月9日、赤の広場で「ゼレンスキー・ネオナチ政権から、ルガンスク、ドネツクの同胞を解放した!」と宣言したいのだろう。