ちなみに先に私の見立てをお伝えしておくと、一部の懸念は悪い方に現実化すると思いますが、日本人にとっては良い結果になることも多いのがこの週休3日制だと考えます。

週休3日制で追い詰められるのは
部下ではなく、実は上司

 さて私が知っている欧州の会社の場合、週休3日制で週40時間労働に切り替えたことで、朝7時に勤務開始時間が早まって退社時刻はこれまでと変わらない形になりました。この方式だと、冬の場合まだ周囲が暗いうちから社内会議が始まることになります。しかし、やってみた本人から見ると、一日10時間勤務自体はそれほど負担ではないと言います。

 私が聞いた話をまとめると、これまでと勤務時間は変わらない。ただ全体的に生産性は良くなったというのです。

 理由は二つあって、一つは週末に子どもや家族、友人などと過ごせる日が1日増えたことで精神面のゆとりができたことと、会社全体で無駄な仕事を減らす方向に力学が働くことになったからだといいます。

 前者は分かります。後者について補足すると、要するに週4日で業務を終わらせなければならない状況から、残業のマージン(余地)のようなものが減ったそうです。そのため、一人一人が生産性をより強く意識するようになったということらしいです。

 この話は、1番目の「そもそもうちの職場でそんな働き方が成立するか?」という疑問への答えにもなっています。

 無駄な会議が多く、だらだらと働く人が多い職場。そのうえ、上司が部下が残業を断れないのを前提に仕事を振って、「明日の朝までにこの資料仕上げておいて」みたいに無茶な指示を出す職場なら、週休3日制など一見導入できないかもしれないと最初は思うでしょう。

 しかし、週休3日制を会社が導入すると決めると、実は追い詰められるのは上司の側です。「少ない時間で同じ量の業務をどのように終わらせるか」を考えなければいけないのは上司だからです。すると、無駄な会議を続けていたり、手戻りが起きたりするような無茶な指示をなるべく出さないようにしなければいけなくなる。

 結果的にそれが働き方改革を促す圧力になるという点で、「そもそも週休3日なんて成立しない」と思える会社でも制度を変える意味は出てくるようです。