日本人は世界と比べて
長く働き、生産性が低い

 このように週休3日制を働き方改革と一体で捉えると、そもそもの問題点も見えてきます。OECDが公表している先進国同士の労働時間の横比較(2020年調査)を見ると、日本人男性の1週間の労働時間は53時間と他の国よりも飛び抜けて多いことが分かります。

 冒頭で「1日8時間で5日間働くと週40時間労働」という話をしましたが、先進国はおおむね、この水準よりも少ない労働時間に収まっています。アメリカが週37時間、ドイツが週34時間、フランスが週27時間という具合です。

 ちなみに、「なぜ男性の労働時間で比較するの?」という疑問が湧くかもしれません。実はわが国では男女の間で労働環境に大きな差があります。統計を取ると女性のパート比率が非常に高く、そのうえ税法や社会保障制度に起因する「103万円の壁」や「130万円の壁」が存在するせいで、女性の労働時間が欧米よりもずっと短くなるのです。

 そのことで結果として、男女平均を取るとOECD加盟国間の横比較でもそれほど恥ずかしい数字にならなくなるというからくりがあるので、男性だけの労働時間を比較しないと日本のフルタイム従業員の労働環境の実態が見えてこないのです。

 そして、週当たりの労働時間の逆数をとると、今度は加盟国間の生産性の違いが見えてきます。アメリカは日本よりも労働生産性が1.4倍高い、ドイツは1.6倍高い、フランスは1.9倍高いということが数字から見えるのです。仕事に勤勉なドイツ人が日本よりも1.6倍生産性が高いという数字に、日本人は大いに反省すべきでしょう。