2012年はまれに見る政治の年だった。日米中露仏韓と世界の主要国で、政権が替わるか、新政権が発足した。それを投影して経済も不安定だった。さて、安倍新政権は、対外的には日中、日韓の関係改善という難題を抱える一方、大幅な金融緩和と財政出動を掲げてスタートを切る。政府部門はGDPの200%にも達する借金を抱え、再生は容易な道ではない。「巳年」の巳は草木の成長が極限に達して、次の生命が創られることを意味するという。果たして、日本は再生の糸口を見つけらるのか。そうした状況下、2013年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。

アジアの成長と航空需要に注目 <br />オープンスカイ政策は脅威でなくチャンス<br />――全日本空輸社長 伊東信一郎氏いとう・しんいちろう
1950年生まれ。74年3月九州大学経済学部卒業、4月全日本空輸入社、99 年社長室事業計画部長、2001人事部長、2003 年執行役員・営業推進本部副本部長兼マーケティング室長、2004 年常務取締役執行役員、2006 年専務取締役執行役員、2007 年代表取締役副社長執行役員、2009 年4月代表取締役社長。
Photo by Masato Kato

①中国リスク、欧州経済不安等の状況

理由:中国については、ビジネス需要を中心にかなり戻ってきているが旅行はまだまだである。もともと冬の中国の旅行需要は少ないが、2月の春節で戻るかどうかであると見ている。一連の政治の状況も航空需要とは関係があるので、注目している。

 様々なリスクの影響を受けやすい航空業界だが、欧州・北米・アジア・中国等、一地域の収入比率が高まり過ぎないようにしている。また、北米・アジア間の乗り継ぎ需要など、キャッチメントエリアを広げ、様々な国籍のお客様にご搭乗頂くようにしており、1地域の影響が最小になるよう心がけている。