処方箋をもらうだけの「お薬受診」も
医師の診察を受ける必要がある

 前述のように、診療報酬は「医療費の値段」を示したもので、健康保険を使って受けられる診療行為の項目が列記された「医療の価格表」だ。病院や診療所で行われる診療行為のひとつひとつに、この診療報酬が付けられており、点数で表示されている。

 たとえば、初診料288点、再診料73点、入院基本料1650点(1日当たり、急性期一般入院料1の場合)、在宅患者訪問診療料888点(1日につき、同一建物以外の場合)などと決まっている。実際の医療費は、患者に行われた診療行為を積み上げて、その点数を合計し、1点当たり10円をかけて計算する。

 この点数は、健康保険を使って受ける医療費すべてに付けられており、薬に関するものも例外ではない。薬そのものの価格だけではなく、医師が薬を出すときの処方、薬局で薬剤師が調剤するときの技術なども、価格が決まっている。

 現在、薬の処方や調剤は、医師が処方箋を書いて、その指示に従って、薬局が薬を調剤する「院外処方」が一般的になっている。

 院外処方で、医師が薬を処方する診療報酬は、「処方箋料」と呼ばれており、1回につき68点(7種類以上の内服薬、3種類以上の睡眠薬・抗うつ薬など精神疾患の薬を除く)。1点当たり10円をかけるので、医療機関の報酬は680円だ。

 だが、薬を処方してもらうには、この他にも初・再診料など、診察してもらうための診療報酬もかかる。薬は、医師が患者の診察をした上で、必要だと判断した場合に、初めて処方されることになっているからだ。そのため、「薬だけほしい」というような場合も、必ず、医師の診察を受けなければならない。

 とはいえ、なかには、高血圧症や糖尿病など、生活習慣に関連する病気の治療をしている人で、薬の服用によって症状が落ち着いている場合は、診察室に入っても、医師からは「いつものお薬を出しておきますね」と言われるだけで、ものの2~3分で診療が終わってしまう人もいるのではないだろうか。

 そのために、わざわざ病院や診療所まで行って、会計までの長い待ち時間を過ごすことに負担を感じている人もいるだろう。特に現役世代の場合は、仕事のやりくりもあるので大変だ。そこで、患者の利便性を高めるために、今回の診療報酬改定で導入されたのが「リフィル処方箋」だ。