長期処方を受けている人は反対に
医療費が高くなるケースもあるので注意

 リフィル処方箋にもデメリットはある。毎回、医師の診察を受けるわけではないので、体調の変化に気づかず、病状が悪化してしまう可能性もある。

 また、すでに90日分などの長期処方を受けている人は、リフィル処方箋にすると、反対に医療費が高くなる可能性もある。たとえば、30日分ずつ3回に分けて、薬を出してもらうと、病院や診療所で支払う医療費の自己負担分は変わらないものの、薬局で支払う調剤料が3回分かかるようになるため、反対に医療費が増えてしまうことになる。リフィル処方箋にすれば、すべての人の医療費が安くなるわけではないので、注意が必要だ。

 だが、継続的な治療が必要な患者にとって、医療費を節約できる点はメリットが大きい。リフィル処方箋を持参した患者には、薬剤師が服薬管理をすることが条件になっており、継続的に服用するためのアドバイス、残薬の管理もしてもらえる。いわゆる「お薬受診」で、薬をもらうためだけに、1カ月ごとに病院や診療所に行くことに負担を感じている人にとって、リフィル処方箋の導入は朗報といえるだろう。

 ただし、あくまでも薬の処方は、患者の症状に合わせて医師が決めるものだ。患者が希望しても、医師が適切ではないと判断すれば、リフィル処方箋は利用できない。また、医師がリフィル処方箋の利用を認めると、患者が病院や診療所に来る回数が減ってしまうので、医療機関の収入も減ってしまう。そのため、制度はできたものの、なかなか定着しないのではないかという見方もある。

 だが、リフィル処方箋は、外来医療の機能分化を進めて、増え続ける国民医療費を少しでも削減するために導入されたものだ。限られた医療資源や財源を効率的に使っていくためにも、リフィル処方箋を適正に利用してもらいたい。

 お薬受診を負担に感じている人は、かかりつけの医師に、自分はリフィル処方箋の利用が可能かどうか、相談してみてはいかがだろうか。