肥満成人139人(31.9±9.1歳)を無作為に2群に分け、両群にカロリー制限を指示し、かつ1群には午前8時~午後4時のみ摂食可とする時間制限を加えた。摂取カロリーは、男性1,500~1,800kcal/日、女性1,200~1,500kcal/日とした。

 139人中118人(84.9%)が12カ月後の追跡調査に参加した。ベースラインからの体重の変化は、カロリー制限のみの群-6.3kg(95%信頼区間-7.8~-4.7)、時間制限を加えた群-8.0kg(同-9.6~-6.4)で両群ともに有意に減少していた。体重変化量の差は-1.8kg(同-4.0~0.4)で、有意差がなかった。BMI、腹囲長、体脂肪量、除脂肪体重、血圧、および代謝関連指標に関しても、同様の結果だった。

 本研究に関与していない専門家は、「この研究は時間制限食の有効性の有無について、多くを語るものではない」と指摘している。その理由は、両群の参加者ともに摂取カロリーを25%削減するように指示を受け、毎日の食事記録をつけて、それを基に指導者からアドバイスを受けるという、強力な介入が行われたためだ。

 米コロンビア大学アービング医療センターのBlandine Laferrere氏も、「この研究デザインでは時間制限食のメリットを示すことは難しい」と話す。また同氏は、本論文に対して寄せた付随論評の中で、「カロリー制限が減量に効果があることが改めて示されたが、厳格な摂取制限を順守できる人がリアルワールドにどのくらいいるかという点で、議論の余地がある」とも指摘している。

 時間制限食についての研究が豊富な米イリノイ大学シカゴ校のKrista Varady氏も、「今回報告された研究は、時間制限食の効果を検討したものでない」と指摘。同氏によると、時間制限食を試みる人はカロリー制限への上乗せ効果を狙って行うのではなく、カロリー制限より簡単な手段として時間制限食を選択している」とのことだ。そして、「時間制限食が自分に向いていて継続可能だと気付いた人は、それによるダイエットに成功する確率が高いのではないか。重要なことは、自分のライフスタイルに合った方法を選ぶことであり、だれにでも有効なダイエット法など存在しない」と付け加えている。

 なお、Varady氏は、「今回の研究は比較的サンプル数が多く、追跡期間が長いことは強みと言える」と評価するコメントも記している。同氏によると、時間制限食の有効性を報告したこれまでの研究は小規模なものが多く、しかもこのテーマの研究が行われるようになったのは最近5年程度のことであり、不明点がまだ多く残されているとのことだ。

「現時点で時間制限食に魅力を感じる肥満者にとっては、それを一考すべき価値があるかもしれない。ただし、妊娠中や授乳中の女性、摂食障害の既往歴のある人、70歳以上の高齢者(筋肉量減少が懸念されるため)などは、時間制限のある食事スタイルを避けるべきだ。血糖降下薬が処方されている糖尿病患者も、試みる前に医師に相談した方が良い」とVarady氏はアドバイスしている。(HealthDay News 2022年4月21日)

https://consumer.healthday.com/intermittent-fasting-2657161817.html

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