今月下旬のバイデン大統領の訪韓に当たり、これまでは韓国の米国シフトを示す象徴として、クアッドへの参加問題に関心が持たれていた。尹錫悦大統領も選挙運動中、クアッドに招待されれば、参加を前向きに検討すると述べていた。

 しかし、クアッドは自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を持つ日米豪印の4カ国が、中国を念頭に安全保障や経済を協議する枠組みである。これに韓国が改めて加入することは、中国との関係を著しく損ないかねず、韓国が中国の標的となる可能性を高めかねない。

 こうした背景もあり、最近急に注目されだしたのが、IPEFの発足とその当初のメンバーとして韓国が参加するかどうかの問題である。

 ちなみに中国が韓国に対して強圧的な姿勢を取る背景には、二つの理由がある。

 第一に、日米韓やクアッドの同盟・強力の中で、最も連携が緩く脆弱(ぜいじゃく)なのは韓国であることだ。中国は、韓国をその連携から切り離し、対中包囲網を弱体化させる目的で、圧力を強めてきた。それがTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備問題に対する報復措置である。

 韓国が当初から、日米韓との関係を強化し一体して行動していれば、中国はここまで強くは出られなかったのではないだろうか。

 第二に、韓国の中国経済への依存度が極めて高いことだ。中国の報復に対し韓国は脆弱であり、韓国は中国の言うことを聞かざるを得ないとみられている。

 こうした状況を考えると、韓国がIPEFに加入し、日米との連携を強めるとともに、韓国経済の中国依存度を減らしていくことは、韓国の対中独自外交にとって不可欠である。