少しでも変調を感じるなら、本書に書かれていることを試して損はないだろう。「しんどい」がスーっと消えていくはずだ。(南 龍太)

本書の要点

(1)「自分の健康は自分で守る」時代だ。会社はあなたを守ってくれない。
(2)周囲のことは全て無視し、心から湧き上がる気持ちを大切にしてほしい。「好き」と思う自然な気持ちこそ、心の核になる自分の評価軸だ。
(3)何より大切なのは「自分の幸せ」であると同時に「愛する人の幸せ」だ。それらを犠牲にしてまでやるべきことは何もない。

要約本文

◆働くのがつらい
◇あなたを守れるのはあなただけ

 会社は大抵あなたの健康を守ってくれない。「自分の健康は自分で守る」時代だ。

 現代社会では、うつ病などの精神疾患の方が増え続けている。背景には「社会の余裕のなさ」があると産業医の著者は言う。

 給料は上がらず、人手も足りず、長時間労働を強いられ、ストレスや疲労がどんどん溜まり、パフォーマンスが下がる。この悪循環を断ち切るための「心のお手入れ(セルフケア)」も、「休むと周りに迷惑をかけてしまう」と躊躇してしまい、自分をいたわることができない人がほとんどだ。

 会社側は貴重な労働力を失うことを恐れ、つらそうな従業員を見て見ぬふりをする。自分は、他の誰でもない自分自身が守っていくべき時代だ。

「人生の合格ラインを60点にすること」をぜひ試してほしい。「100点満点の理想」に対し、まったく追いつかない現実の自分を「これでいいよね」と受け入れる。理想まで40点足りなくても、ここまで一生懸命頑張ってきたあなたの努力を、そのまま認めてあげる。何でもかんでもできる人間なんていない。