悪いことが1つあるとずっと引きずり、「人生がまったくうまくいかない」と思い込む人がいる。そのような人は「ネガティブな気持ちを吐き出す場所がない」と考えがちだ。たとえそうした場所があっても、悩みを他人に打ち明けることを恥じ、全て一人で抱え込み、ふさぎこんでしまう。

 友人や家族などの身近な人に話したり、産業医や心理カウンセラーを活用したりするのが難しい場合、自分の考え方を変えていく必要がある。最初に行うべきは、「現状をまるごと受け入れてあげる」ことだ。「人生はこんなもんだよなぁ」という開き直りも一手だ。うまくいかない人生を丸ごと受け入れ、十分頑張っている自分を認めよう。

◆人間関係がつらい
◇人の目ばかり気になる

 他人からの評価を気にしすぎる。仕事に加え、趣味やプライベートに関することさえ、「変だと思われないかな」と心配してしまう。常に周囲の共感、反応を気にしていては、心身ともに疲れ果てるだろう。

 精神医学や心理学の世界では、「自分」と「他人」を分けることが推奨される。自他を混ぜて考えると、不要なストレスを抱えてしまう。

 たとえば、コピー用紙の補給に手間どっている人に気づき、手伝ってあげたとする。しかし、相手は感謝もせずに立ち去った。「なぜ、『ありがとう』の一言もないのか」といら立つのではないだろうか。

 この場面で「自分」と「他人」を分割して考えると、自分は親切をしたが、相手がどう思うかは相手の勝手だ。相手は、ありがた迷惑と思っているかもしれない。一方、自分は「相手を助けよう」と自分の都合で行動に出た。感謝を期待するのは傲慢とさえ言える。

 自分がやりたくてやったのだから、相手がどう思うかは本来関係ない。「自分」と「他人」を分割する考え方を身につけると、不必要な心理的負担はなくなる。

 私たちが持つ「他者に認められたい」という承認欲求の裏側には、「他人からどのように見られているのか」を常に意識している自分、「他人の評価」をよりどころにして生きている自分がいる。

 欲求をしっかりコントロールしないと歯止めがきかなくなる。